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私を突き動かしたもの
2019年12月、中国湖北省武漢市から報告された原因不明の肺炎は、新たなコロナウイルスが原因であることが判明した。WHO(World Health Organization)は2020年1月、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を、3月11日には「パンデミック」の宣言をした。国内では、3月下旬〜4月上旬にかけて感染者数が急増した(第1波)が、5〜6月にはいったん減少、7〜8月には5〜6月を上回る感染者数(第2波)になった1)。このような状況で始まったCOVID-19の拡大であったが、2021年1月には第3波、3月下旬からは再び感染が拡大して第4波、7月に入るとまた感染が急拡大し、第5波となった。2022年年明け早々、これまでをはるかに上回る感染の波が押し寄せ、これが第6波となり2月3日に全国で初めて10万人を突破した。7月に再び爆発的な感染が始まり、これを第7波と呼んでいる。2022年秋になってもいまだ終息あるいは共存の方向性は見えない。
私は当初、感染拡大の波が第7波まで繰り返されることを想像できず、2020年に国内での感染拡大が始まったときには、数か月あるいは1〜2年のうちに元の生活に戻るという根拠のない予測をしていたように思う。この3年間を振り返ると、当初の混乱と恐れは次の感染の波によってさらに拍車がかかり、形を変え襲いかかるウイルスは得体のしれない存在として記憶されている。今後もCOVID-19をはじめとするさまざまな感染症のパンデミックが起きうることや、残念ではあるが化学兵器などの使用への対策も念頭に入れ、保健医療福祉体制を構築しなくてはならないことが指摘されている。
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