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はじめに
2020年2月以降、全国に拡大したCOVID-19が看護学教育に大きな影響を与えている。緊急事態宣言が発出された期間を含む4〜7月の前期期間に、当初の計画どおり臨地実習を実施できた大学は1.9%にとどまり、すべて学内に変更した大学が74.1%であった1)。
長崎大学医学部保健学科看護学専攻(以下、本学)の成人看護学実習Iは、通常3年次後期の9月末から12月の期間を3クールに分け、各クール約25名、合計約70名の学生が長崎大学病院で実習を行っている。しかし、2020年度の実習は学生数、時間数を通常の2分の1に縮小した形で、3密を避けながら実施することが6月に決定した。COVID-19の収束が見通せないコロナ禍において、学生・患者・医療従事者の健康を守りながらも、例年どおりの成人看護学実習Ⅰの目的・到達目標(表1)が達成できるような実習を行うことが必要だと考えた。
そこで、本学では、以下のような取り組みを行った。
1.実習途中での変更をできるだけ避けるため、病棟実習は全員1日のみで、1日に1グループ3名×4つの病棟に分かれて実施し、学生が患者を受け持たない実習とした。また、手術室の見学実習は、時間差を設けることで手術室や更衣室での密集を避けて実施した。
2.実習前に病棟実習で見学したいこと・聞きたいことについて学生にアンケート調査を行い、その結果を実習指導者と共有し、実習時に活用した。
3.看護過程の展開は、1クールごとに大腸がんで手術を受ける患者、胃がんで手術を受ける患者、慢性心不全で内科的治療を行う患者と異なる事例を作成し、模擬患者を受け持つ形で行った。
今回は、上記の3.についての取り組みとその効果を紹介したい。
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