増大号特集 特集2 オンラインで学びを深める協同学習
Zoomを使った協同学習授業チーム運営のコツ―授業設計から体制づくりまで
小松 誠和
1
1久留米大学医学部 免疫学講座
pp.795-801
発行日 2021年8月25日
Published Date 2021/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201793
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はじめに
「国手の理想は常に仁なり」、これは北原白秋が記した言葉であり久留米大学医学部医学科の理念である。「国手」とは名医を意味し、「仁」とは己に克ち他に対するいたわりのある心を意味する。このような利他を大切にする心は医師のみならず看護師においても求められるところであろう。医療の場面で医師や看護師は患者の状態を的確に把握し、問題があればそれを解決できる能力が必要不可欠になる。さらに医師や看護師が1人でできることには限りがあり、仲間と心と力を合わせ患者のために成し遂げることも必要になるだろう。このような力を「協同実践力」という。協同実践力とは「協同の精神」と「科学的探究」を前提とする行動力のことである。
久留米大学医学部(以下、本学)医学科ではこの協同実践力を育成するために科目「協同学習」を医学教育のカリキュラムのなかで開講している。本科目の授業は通常時は対面授業で行われるが、今年度は昨今の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、その大半においてオンライン授業を余儀なくされた。オンライン授業において協同学習をどのように学び、どのように協同学習を活かした授業づくりができるだろうか。オンライン授業において協同実践力は身につくのだろうか。本稿では科目「協同学習」のオンライン授業としてZoomを使った授業実践を紹介し、オンライン協同学習授業の設計からその運営体制をどのようにつくったのかについて紹介する。さらに、そこから見えてくる協同学習におけるZoom授業の長所と短所について考えていきたい。
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