連載 〈教育〉を哲学してみよう・8
優れた教師とはだれか
杉田 浩崇
1
1広島大学 教育学部
pp.260-264
発行日 2020年3月25日
Published Date 2020/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201450
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教員に求められる力量形成
現代の学校教員にはさまざまな力量が求められている。高い教科指導力、円滑に学級を経営する力、児童生徒に寄り添い、理解する力、保護者や地域の人々と連携するコミュニケーション力など。学校に向けられる期待が大きくなるにつれ、教員に求められる仕事や役割もますます増えている。「チームとしての学校」が文部科学省の改革方針として打ち出されている1)ように、不登校や特別な支援の必要な子どもへの対応、貧困といった問題に対して、学校教員以外の専門家が果たす役割にも期待が寄せられつつある。
他方、学校教員に向けられる期待の高まりは人々の間で不信感が増していることの裏返しでもある。学校教員が適切な力量を備えているか否かを絶えずチェックし、その向上を促そうとする制度やまなざしは増えつつあるように思われる。実際、学校教員には10年ごとに教員免許状を更新するとともに、定期的に研修を受けることが義務づけられている。近年では「団塊の世代」の大量退職に伴って、若手教員を育成するためにより体系的な研修制度が整えられつつある。研修を充実させれば、学校教員に必要な力量を高め、保障することができるというのである。
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