連載 優れた“わざ”をどう伝えるか 技術の「背後にある意味」を教える・1【新連載】
優れた“わざ”を伝承するために
阿保 順子
1
,
川嶋 みどり
2
1北海道医療大学大学院看護福祉学研究科
2健和会臨床看護研究所
pp.54-58
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200673
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この連載がめざすもの
看護は観念的な営みではない。きわめて現実的で身体的な営みである。そして,看護は人と人とのつながりの上に立った相互浸透的な行為の連鎖からなる。
だが,その看護は危機に瀕しているように思える。医療技術が日々更新されていく病院のなかでは,看護師たちは診療の補助へと傾倒せざるを得ない現実がある。そこでは,看護師が主体的に行うはずの療養上の世話は影を潜めてしまう。一方,訪問看護など在宅医療の場では,特定行為研修制度の成立により,逆に,医行為を実施できるようになることが推奨されている。病院医療の現実も在宅医療の未来も,看護技術をもって行う本来の看護を後回しにしてしまう可能性が感じられて怖い。患者へ安楽をもたらす看護技術が捨てられ,忘れ去られてしまえば,看護師という存在は不要である。患者はどこに救いと癒しを求めたらいいのだろうか。
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