連載 医療通訳inバンクーバー・6
オピオイド危機とハームリダクション
高橋 麻貴子
1
1Trans Med
pp.782
発行日 2019年9月25日
Published Date 2019/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201326
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前回(連載第5回)は、北米の人が「痛み」に関していかに敏感かということについてお話ししました。アメリカの人口は世界のおよそ5%ですが、世界のオピオイドの80%以上はアメリカ人が消費しているともいわれています。その処方件数は年間約2.5億件にも及びます。
このように、医師がオピオイドを、安易に、長期間、大量に処方してしまうことが、別の社会問題を起こしています。オピオイドの効果は、痛みの緩和だけではありません。特に麻薬性鎮痛薬は、鎮痛作用をもたらすと同時に、脳内の喜びをコントロールする部位を刺激して、一時的に幸福感を感じさせるのです。麻薬性鎮痛薬を恒常的に処方された結果、依存してしまう患者さんも多く、近年問題になっています。
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