特集 実習でともに育つ学生と教員―学生・実習指導者・教員の「それぞれのリアリティ」
看護学実習のリアリティ―実習指導者の実践と成長
鈴木 真由美
1
1日本医科大学付属病院 看護部
pp.290-296
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201215
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指導者にとっての、変わりゆく看護実習指導
私は現在、教育担当の師長として、実習を受け入れる学校の担当教員との打ち合わせや、院内の部署責任者、実習指導者と連携などの業務を行っています。実習指導について、とても印象に残っている言葉があります。それは以前に、実習病棟の看護師長から受けた報告です。「指導教員から、予定されている実習グループに留年生が含まれており、指導が大変なので留年生について詳しく申し送りをしたい、と依頼がありました。打ち合わせは必要だと思いますが、病棟も忙しいのであまり時間もかけられないし、学生を偏見をもって見ることは学生の可能性も潰すことになるのではないでしょうか」という報告でした。
学校側には、留年生が受け持ちをすることで患者に負担をかけたくない、実習指導者にも指導で負担をかけたくないという思いがあったのかもしれません。一方、師長の言葉には、留年後に1年かけて勉強をして再び実習を行おうとしているのだから、実習に対する姿勢や患者への対応は学生自身がどうするべきか考え、行動変容しているに違いない、教員がみている学生像と指導者がみる学生像は違ってみえているかもしれない、既成概念にとらわれず学生に向き合いたい、といった思いが込められていたのではないかと思います。
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