連載 障害や病いとともに学ぶ、働く・2
看護系大学での学生生活
瀬戸山 陽子
1
1東京医科大学医学部看護学科看護情報学
pp.224-228
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201199
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大学への復学
4回目の手術当時、私は看護系大学の2年生だった。手術後思いがけず障害が残った自分が、やはりきちんと考えなくてはいけなかったのが、大学への復学に関することである。母校は看護の単科大学で、看護の道に進むことをやめて他の学部へ移動するという選択肢はない。母校に戻るのであれば、看護師免許を取得することをめざして学習を進めることが求められる。当然その学習のなかには、演習も実習もあった。
自分が手術後どのくらい経過してから進路について考え始めたのか、今となっては記憶が定かではない。ただ3か月ほどの入院中に、自分がこの先どうなってしまうのだろうという漠とした不安とともに、戻る場所についてぼんやりと考えていたように思う。看護師になりたい思いが強かったかというと、実は最初からそんなに強い思いはもっていなかった。高校のときに進路として看護を選んだのは、働く大人として身近な存在だったからという理由だったと思う。ただ術後は、とにかく戻る場所がほしかった。戻る場所がないと、どんどん自分が病院のなかでの刺激のない守られた生活に飲み込まれていきそうな、そんな妙な不安と焦りがあったような気がする。
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