特集 看護教育をとらえる新たな発想 コンセプト・ベースド・カリキュラム
看護基礎教育における概念基盤型学習の活用─知識・スキル・理解(概念)の3側面学習支援に向けた文献レビュー
津波古 澄子
1
1共立女子大学看護学部
pp.1040-1047
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201136
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概念基盤型学習の導入への期待
Giddensの提示する概念基盤型学習は,学びのプロセスと既習の知識の転換に焦点をあてる。とりわけ,健康─疾病の学習に関するアプローチは「医療モデルから概念基盤型カリキュラム(看護モデル)へのシフト」であると言われている1)。これまでに発表された文献を概観すると,看護基礎教育への概念基盤型学習の導入は,基本的にはヘルスケア環境の急激な変化による看護教育内容の量の増加や質の変化への対応であり,医療の進歩とともに膨らむ医療情報に基づく「医療モデルから患者ケア中心の看護モデル」への方向性を明示している。21世紀に入り,人々を取り巻く社会・医療環境の変化に対して,改めて「看護教育とは」と問いかけると同時に,教育イノベーションの取り組みの必要性が問われている。
「看護とは」と問うたナイチンゲールは,「病気は回復作用」であり,「看護は回復作用を助けるべきである」2)と明言した。また,看護がなすべきことについて,「看護が意味すべきことは……患者の生命力を少しも犠牲にすることなく行うことである」と記した。1850年代の看護教育に対するナイチンゲールの深慮と残されたエビデンスを,1950年代に米国の看護教育・研究者らが“再発見”し,今日までの看護教育および臨床実践の蓄積へとつながり,「看護の知」として看護プロフェッショナルのアイデンティティを確立してきた。しかし,昨今看護教育の膨大な内容と教育の多様さに日々直面し,21世紀における「看護とは,看護教育とは」と,ナイチンゲールの問いが新たな意味をもって響いてくる。
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