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書評 ─『知って考えて実践する国際看護第2版』─海外で,日本で,国際的な仕事への挑戦に踏み出すきっかけとできる書
野地 有子
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1千葉大学大学院看護学研究科
pp.911
発行日 2018年10月25日
Published Date 2018/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201103
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私たちの社会のグローバル化は一段と進み,国際看護についての関心が高まってきています。2020年東京オリンピック・パラリンピック開催まで2年となり,外国人旅行者や在留者などの増加への施策が推進されている状況です。そんななか,国際看護の舞台は,海外だけでなく身近な日常の看護場面でも展開されてきています。国家戦略として外国人診療を推進する病院の認証や医療通訳士の配置が進められていますが,看護実践に関する検討は十分になされているでしょうか? 外国人患者と看護職や医療者の間で,文化的な生活習慣,価値観,社会背景,医療制度などの違いによる戸惑いや負担が多くみられ,トラブルや医療安全も危惧されます。今こそ,国際看護を“知って考えて実践する”ことが必要なときです。
本書は,本誌での連載「誌上講義:国際看護学」をまとめた初版(2011年)の内容に,さらに文化の多様性についてグローバルな視点を強化した改訂版です。コソボの紛争地,タイ東北部の農村地,緒方貞子さんのこと,感染症,災害,健康格差と貧困,看護と人権など,内容は幅広く,著者の豊富な国際看護の体験を,わかりやすく共有することができます。
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