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書評 ―『知って考えて実践する 国際看護』―グローバルに思考することと多様性の受容の重要性を改めて知る
服部 直子
1
1関西看護医療大学看護学部
pp.411
発行日 2011年5月25日
Published Date 2011/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101764
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本書を手に取り読み終えるまでの間,私はなんとも胸躍る,そしてうずうずするような時間を過ごしていた。国際看護に経験あるいは興味をおもちの方であれば,おそらく同様の感覚を抱かれることだろう。また,本書はこれから国際看護を学ぶ学生にとっても,十分に好奇心をかきたて,そして考えさせる内容であると思う。殊に第3章では,国際看護の学び方や国際協力関連の仕事についても紹介されており,国際看護に携わっていきたいと思われる方はぜひ参考にされるとよい。
「今までの日本の看護教育はあまりにも国際的なことに目を向けてこなかった」という著者の指摘には私もまったく同感である。グローバルに思考することと多様性の受容は,看護においても重要である。著者がICNの倫理綱領を示して強調する通り,看護の対象は「人間」であり,国籍も人種も宗教も条件とはならない。このことこそが「なぜ国際看護?」の問いに対する根源的な答えである(そもそも医療や看護に「国際」と冠すること自体,日本的な発想なのかもしれないとも思う)。また,国際看護イコール「海外で看護をすること」でもない。今や日本の人口の約60人に1人が外国人であり,外国人の患者に対応した経験のある看護師も少なくないだろう。そこには,言葉や異文化などさまざまな問題があり,対処をしていくための考え方を看護基礎教育に取り入れていくことは喫緊の課題といえる。
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