連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・2
頭部─頭は考えるアゴである
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
pp.81
発行日 2018年2月25日
Published Date 2018/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200912
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私たちにとって特に重要な部位に感じられる頭部は,大きく2つの部位に分けることができます。それは脳を納めている脳頭蓋と顔がある顔面頭蓋です。髪の毛の生えている部位とそうではない部位ともいえますが,おでこは脳頭蓋に含まれます。
人間は脳頭蓋が大きく目立つので,頭は脳のためにあるようにも思えますが,進化をさかのぼれば,頭部で目立っていたのは顔面頭蓋のほうなのです。重要なのはそこにある顎です。ティラノサウルスの化石を見ると,頭のほぼすべてが顎つまり顔面頭蓋であることに気づくでしょう。現在でも,脊椎動物のほとんどは顎で獲物を仕留めます。人間は顎での捕食をやめ,料理を発明することで顎が極めて小さくなりましたが,頭部はもともと顎のためにできた部位なのです。
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