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書評 ─《シリーズ ケアをひらく》『中動態の世界─意志と責任の考古学』─「能動的な学び」の価値観に一石を投じる
大谷 則子
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1和洋女子大学看護学部設置準備室
pp.547
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200784
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能動的な学習者を育てる,という言葉が盛んにいわれている昨今,私は,能動と受動といった二項対立の枠組みとは異なる,もう少し自由な学習者のとらえ方があるのではないか,というジレンマに陥っていたことがある。なぜ,安易に学習者を二項対立の図式にあてはめようとするのか。
能動と受動の対立,つまり「する」か「される」かの対立には意志と責任の概念が存在し,これが善か悪かの二項対立の判断基準になるという。学習においては,能動的な学習者が意志と責任を担う善で,受動的な学習者が悪とされる。
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