特集 「楽しい」解剖学を求めて
自らが教えるために学んだ経験から解剖学のおもしろさを考える─形態機能学の講義をとおして
金子 喜代美
1
,
水澤 晴代
2
1東京都立北多摩看護専門学校
2東京都福祉保健局医療政策部医療人材課
pp.340-344
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200738
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形態機能学を教えるようになった経過
東京都立看護専門学校(以下,都立看学)は,2009年度入学生から新カリキュラムの開始に伴い,専門基礎分野の「解剖生理学」を「形態機能学」に科目変更し,日常生活行動に関連する分野は看護教員が中心となって教授している。
2008年度までの解剖生理学は,臨床の医師や基礎医学研究者の講師に依頼し,医学モデルに基づいて教授されていた。そのため,人体を循環器系,呼吸器系,消化器系,脳神経系,腎泌尿器系と分けた器官系統別の構造と機能を教えるという授業であった。看護師をめざして入学したばかりの学生にとって,看護の視点ではなく,医学の枠組みから「からだ」を理解していく解剖生理学は暗記と詰め込み形式の学習になり,苦手意識が強かった。このような形で学んだ「からだ」の知識は,疾患理解の基礎としては想起できるが,看護の視点である人間の日常生活行動と関連づけることが難しい。特に,臨地実習で,対象の看護を考え,実践するうえでは,苦労して学んだ解剖生理学の知識をなかなか活用できていない学生が多いと感じていた。
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