特集 「楽しい」解剖学を求めて
看護技術の研究をとおして解剖学の楽しみ方を探る
原 好恵
1
1人間環境大学大学院看護学研究科 博士後期課程
pp.345-349
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200739
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
自身で振り返る「解剖学」の難しさと大切さ
学生時代を振り返ってみると,解剖学は,初期の,教養科目の多いなかで初めて医学知識にふれられる科目であり,大変な興味をもって授業を聞いていたのを覚えている。授業は非常勤の先生が担当しており,人体模型(骨,腹部内臓など)を示しながら教科書や資料に沿って熱心に説明をしてくださっていた。しかしそれでも専門用語が難しいうえに覚えることが多く,その難しさを知った途端に授業の内容についていけなくなってしまった苦い思い出がある。
2年生の実習で消化器系疾患の患者さんを受け持ったが,最後のまとめのカンファレンスで,病棟の実習指導者から「人の消化器の解剖図を描いてみて」と言われた。私の描いた図は,肝臓が左にあり小腸と大腸が曖昧なもので,大恥をかいた記憶が残っている。患者さんの疾患や病態について理解するためには,解剖生理(正常な構造・機能)について十分に理解しておかなければいけないということにあらためて気づき,解剖学を学ぶことの大切さを身に染みて感じた瞬間だった。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.