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映評 ─『映像でやさしく学ぶ 生命倫理と看護倫理の基礎』全5巻─自身に問い続けなくてはならない“倫理”を学ぶための道しるべ
田邉 三千世
1
1神奈川県立平塚看護大学校
pp.223
発行日 2018年3月25日
Published Date 2018/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200943
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看護倫理は,看護師の知識・技術・態度の根底に存在するものである。看護基礎教育では,専門職業人としての倫理観を高めるために,社会におけるさまざまな規範の根拠について考察する力,自分自身の思考や行動を客観的に認識する力が必要であり,各学校が特徴をもたせ教育理念に表現している。評者の勤務校は,45年の歴史ある3年課程看護専門学校から,2017(平成29)年度より4年制専門学校として再スタートした。新カリキュラム構築では倫理教育を主軸として,教育理念での位置づけ,分野・領域・科目・単元の学習内容の設定,科目横断の学び方,学年での積み上げなどの話し合いを重ねてきた。
1年生は,社会におけるさまざまな規範(道徳や哲学)の根拠について考え,倫理的に判断し行動できる力を養うとし,2年生は,現代社会の現状と課題について理解し,さまざまな価値観について考察を深め,3年生では,さらに経験の意味を問いながら自分のありようを見つめつつ,自己理解・他者理解を深め,生きること・死ぬこと,人間とは何かを論理的に考える力を滋養したいと考えた。そして仕上げの4年生では,専門職業人および反省的実践家として,看護とは何かについて,行為のなかで省察することの意味を学ぶとした。さらに4年間のなかで展開される臨地実習によるかけがえのない経験を意味づけていくことで,専門職業人としての倫理観を高めていくことができるようにと考えた。
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