--------------------
書評 ─『オープンダイアローグとは何か』─非構成的エンカウンターグループの豊かさ
橋本 久仁彦
1
1「きくみるはなす縁坐舞台」坐・フェンス
pp.145
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200445
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私は30年ほど前に非構成的エンカウンターグループに出会った。我と汝という実存的な在り方を志向し,メンバーのどんな発言にもていねいに耳を傾け,互いに深く出会っていくというグループイメージはとても魅力的だった。組織に人間中心の雰囲気をもたらす革新的なアプローチとして,「静かなる革命」とか「20世紀最大の社会的発明」といった評価が寄せられ,教育,医療,福祉などに携わる多くの人々がこの方法に触れた。
しかし,今,非構成的エンカウンターグループを行う人や場所は少ない。実践家の多くは,構成的グループに移行していった。あらかじめグループのねらいや目的を明確化し,アイスブレークやウォームアップ,出会いや気づきのワークなど多数の心理テクニックを用いて,決められた時間内に所定の効果をあげるやり方のほうが,学校や企業などでは歓迎される。
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.