特集 看護観の伝承
看護とは科学であり,アートである─伊藤暁子先生に教わった「看護観」「看護教育観」
山西 文子
1
1東京医療保健大学東が丘・立川看護学部
pp.86-91
発行日 2016年2月25日
Published Date 2016/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200433
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「看護観」について考える
2001(平成13)年7月から「保健師助産師看護師法」において,守秘義務規定が定められ,2003(平成15)年5月からは,「個人情報の保護に関する法律」が制定された。私たち看護者にとっては,それまでと異なり,医療関係者のなかでも,患者や医療関係者などについて,個人が特定可能な情報をむやみに仲間同士においても話題にしてはいけない状況におかれるようになった。
以前,学生時代から新人看護師の時代は,どこにおいても仲間同士で情報交換と称してあれこれと話し合い,その話し合いによって自分の考えを深めていくきっかけが常識的な範囲で許されていた。そのような時代は特に看護観について,看護をどう考えるか,自分が行った看護はどうであったか,患者さんや同僚はどのように評価してくれたか,根拠に基づいた看護を行ってきたか,看護理論に外れていないか,看護基準やマニュアルは正しいか,などなど一晩語り明かすくらい議論した。看護とは,看護実践とは,看護の機能は,看護の役割とは,看護に領域はあるか,どのような領域か,看護の対象はどうか,看護の目的は何か,世界のどこで実践されるかなどについて,議論を重ねていくと専門的に深まっていき,技術論や哲学的,芸術的な話にまで及んでいた。
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