特集 「看護研究」で実践力を鍛える
臨床での実践を見すえて,「看護研究」教育が基礎教育で果たす役割
坂下 玲子
1
1兵庫県立大学看護学部
pp.840-843
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200314
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研究とは
研究は「科学的なプロセスを用いた知の創造」1)と定義される。そこには研究という行為の2つの特徴,「科学的なプロセス」を辿るということと「知の創造」がある。科学的なプロセスとは,課題を設定し,文献レビューを行い,観察や実験を行い,その結果を解析し,課題を解く体系化された過程のことである。知の創造とは,まだ誰も明らかにしていなかった事実や考え方を新たに示すことである。体系化された一定の手順に従い新しい知見を示すことが研究といえるだろう。
しかし,まだ誰も明らかにしていないことをそう簡単に解明できるわけがない。課題設定,文献レビュー,データ収集法,分析法など科学的なプロセスを習得するのには相当な時間がかかるので,文部科学省は,専攻分野について研究者として自立して研究活動を行えることを博士課程の目的にあげている(大学院設置基準第4条)。したがって,その定義に相当する研究は大学の学部や専門学校など,いわゆる基礎教育では難しいことが想定される。
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