なぜ看護政策を学ぶのか・1【新連載】
保健・医療・福祉政策の中で看護が果たす役割
大室 律子
1
1干葉大学看護学部看護実践研究指導センター
pp.34-38
発行日 2004年1月25日
Published Date 2004/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200144
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はじめに
近年,わが国では医療・保健改革や,教育改革など戦後最大のシステム改革が進行しつつある.その最中にあって看護も種々な改革がなされているが,それは医療環境,労働環境,教育環境等の政策と深く関わっており,その政策立案のプロセスを理解することは指導的看護職者の義務ですらある.
しかし,多くの看護職者は看護政策に無関心であり,職務目標を達成する上でそれが重要であることに気づいてさえいない.連日のようにマスコミで報道される「医療事故」が看護職者の看護政策への関心を幾分高めてはいるが,その政策策定過程に対する関心は薄い.社会システムの構造が変革する時代にあって,看護職者は政策決定に対して傍観者であることは許されない.
看護職者が能力を十分発揮し,社会に貢献するためには,制度的改革等を含めた政策上の問題を抽出し,さらに政策的問題解決のためのエビデンスに基づいた提言をしていくことが求められる.
また,看護職者が政策の意思決定や決定プロセスに強い影響力を持つためには,現行の保健・医療・福祉の政策決定システムをよく理解する必要がある.しかし,これまでにわが国の看護基礎教育の中では看護の方向性や改革すべき課題についての教育はほとんどなされていない.このような現状を考慮して政策決定過程に参加することの意義を理解し,その役割を認識することの必要性や,さらに看護職者の地位向上を図るために看護政策を学ぶ必要性について述べてみたい.
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