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書評 ─『看護技術─ナラティヴが教えてくれたこと』─学生が看護技術の深い意味を考えるきっかけに
村松 静子
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1在宅看護研究センター LLP
pp.277
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200134
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本書の意図は,帯の言葉「看護技術の定義は,ベッドサイドで更新される」に示されている。そこからページをめくると,「臨床経験をもっと語ろう。心の風景も交えて語ろうよ。語りの連鎖が看護実践の知となって拡がるのだから……」と囁く著者の声が聴こえてくる。看護師として未熟だった頃の著者,患者の姿とそこでの失敗やさまざまな出来事が重なって鮮明に浮かぶ。その語り口が絶妙で,読み手の心にス〜ッと入ってくる。まさに,なまのナラティヴ・アプローチである。
本書の特徴は,章立てがなく物語読本にこだわっているところにある。取り上げた看護技術は,排泄介助,整容,環境整備など17項目で,ごく一般的に分類されている。それだけをみれば,施設ケアの福祉職のためのテキストかと安易に受け止められてしまうかもしれない。しかし私は,看護学生はもちろん,多くの看護師に読んでもらいたい一冊として推奨したい。
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