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“Interprofessional”の意味と意義について
筆者を含む,当時の埼玉県立大学教員4名が「専門職連携教育」という新しい教育方法を視察する目的で2002年2月に英国に渡った当時,すでにさまざまな形態の専門職連携教育が英国全土の医療・保健・福祉専門職養成課程で展開されていた。と同時に,複数の同義語が現場や教科書,研修会などにおいて混在したまま使用されていたことから,この教育方法がまだ黎明期であることに気がついた。しかし,2002年当時になると,multi-disciplinary educationや,inter-disciplinary educationではなく,interprofessional education (IPE)という用語が頻繁に登場し,すでに市民権を得ていた。わが国では2000年から始まった介護保険制度の影響もあり,その頃は「連携」ブームの黎明期で,専門職同士が協力し合うことに異議を唱えるような雰囲気はまったくなかった。だが,思い返してみればそのとき,なぜ“interprofessional”が「連携」なのか,さらに詳細に分析すべきであった。「連携」の意味をもつ英単語は“collaboration”や“cooperation”が存在する。「連携」の意味をもつ英単語には“collaboration”や”cooperation”が存在する。IPEの目的の最大のものが「他職種との連携」であるが,本来のIPEは「専門職のための学際教育」という意味なのである。つまり「自分以外,他の専門性とどう向き合うか」という教育であって,じつは「単純に連携するためだけの教育」ではなかったかもしれない。われわれはもう一度「多職種連携教育」と「専門職のための学際的教育」が果たして同じ概念なのかどうか再検証すべきかもしれない。日本人は「連携」を尊ぶ民族であるが,英国における「学際的な教育」では,この日本的な「連携」とは異なる視点と論拠をもつように考えられる。
今回,英国の地域医療における試み,取り組みをこの「学際」から俯瞰して,検討してみたい。残念ながらこれは本稿の主要なテーマではないが,一つの検討課題としてぜひ,読者諸氏にもこの視点を共有して頂きたい。
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