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書評 ―『国際看護学─グローバル・ナーシングに向けての展開』―地球規模の視点から新たな健康課題をとらえるために
田代 順子
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1聖路加看護大学国際看護学
pp.319
発行日 2014年4月25日
Published Date 2014/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102678
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本書は,グローバル・ナーシングを担う若者に役立つよう,グローバル・ナーシングの中核の考え方から,取り組みの具体,さらにキャリア開発までを多面的にまとめた書籍である。特徴は,グローバル・ナーシングを広い視野でとらえ,かつ身近で起こっているグローバル・ヘルスの課題に対し,看護職としてどのように取り組めるかを,概念の解説はもちろん,具体的な活動を事例で示していることである。さらに,グローバル・ヘルスを地球上に生きる人々の健康ととらえ,そのグローバル・ヘルス・イシュー(健康課題)に対し,チームでの看護職の取り組みが可能となるよう,さまざまな局面(文化,貧困問題と社会制度,グローバル・イシューの情報分析方法,そして介入としての教育,看護活動など)が展開されている。
1章では,グローバルな看護活動の前提となる課題をPPE(population-poverty-environment;人口問題─貧困問題─環境問題)の悪循環から派生する健康問題としてとらえ,またグローバル・ナーシングを「地球上に住む全ての人に健康と幸せをもたらす」グローバル・ヘルスの目的の実現に向けて,看護職の立場で参画・取り組むものと定義し,個人あるいは政策にアプローチし,地域の医療・看護システムを改善するはたらきを概説している。
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