第2特集 看護学生論文─入選エッセイ・論文の発表
論文部門
【優秀賞】新設の特別養護老人ホームで暮らす認知症高齢者が自分らしく生きるための看護援助の検討―日常生活のサインから見出されたニーズを紐解いて
青木 澪
1
,
川端 紫野
1
,
鈴木 芹奈
1
1神戸市看護大学4年
pp.712-716
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102481
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はじめに
わが国の2012年時点の「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上の認知症高齢者数は約305万人であり,2025年には約470万人に増加すると見込まれている1)。これに伴い,認知症高齢者と関わる機会が増加することが推測されるため,看護職は認知症高齢者とその家族への理解を深め,看護援助の質を高めていく必要がある。現在,認知症高齢者の看護援助ではその人らしさを尊重することが重視されており,特別養護老人ホーム(以下,特養)においても,その人らしく過ごすことを目指すユニット型施設の普及が進められている。
認知症高齢者が自分らしく生きるためにその人らしさを重視した看護援助を行うには,認知症高齢者のニーズを捉えることが基本2)となる。認知症高齢者のニーズに関する研究は,事例検討を中心に報告3─5)されているが,当事者である認知症高齢者の訴え,行動等のサインからニーズを明らかにした報告は少ない6, 7)。この背景には,認知症高齢者は認知機能の低下等に伴い,思いや考えの表現が困難と考えられてきたことが挙げられるが,高山らは中等度・重度の認知症高齢者が他者に気持ちや感情を示す力を有することを明らかにしている8)。以上のことから,筆者らは当事者である認知症高齢者の思いや考えが置き去りにされることのないよう,認知症高齢者自身の訴え,行動等のサインから見出されたニーズを紐解き,看護援助を検討する必要があると考えた。
そこで,本研究では新設の特養で暮らす認知症高齢者のニーズを明らかにしたうえで,認知症高齢者が自分らしく生きるための看護援助を検討することを目的とする。
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