連載 看護学校管理・運営のための12のポイント・ポイント2
看護運営に必要な経営的視点
江川 万千代
1
1遠賀中間医師会立遠賀中央看護助産学校
pp.410-415
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102394
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はじめに
学校経営とは,設定した学校の教育目標の達成に向けて,経営的資源である人・物・金・情報・時間を活用し,最も有効な手段で学校運営を行うための組織活動である。組織がうまく機能し,生き生きとした教育活動ができ,学生が満足して学習できる環境づくりこそ,学校経営の本質でありまた学校運営の醍醐味ではないだろうか。
企業でいう「経営」は,いかに少ない人員で,いかに少ない物で,いかに少ない金で大きな成果を出すか,そのためには,いかに多くの情報を収集し競争に勝つかである。言い替えれば「最小のインプット」で「最大のアウトプット」をいかに引き出すかということが,経営の一義的目的である。
しかし,生産性という視点から企業と比較して考えた場合,看護教育における「経営」は少しニュアンスが違ってくる。
看護学校経営では,看護教育の質を担保するために,看護師等養成所指定規則1)で一定の基準(専任教員の数,施設整備,実習施設,図書,予算等々)が設定されている。ある意味,利益主義に走れないようなハードルともいえる。また,その基準の範囲内で,いかに大きな成果,つまり看護教育の質を継続させるかという点で大きく異なる。
看護は人間を対象とした職業であり,看護サービスに重点が置かれる。したがって今回は,看護教育をサービスという観点から考え,教育の対象である学生たちにどのようなサービスが提供できるのか,一般企業経営との一致点や相違点,また経営資源に関する考え方やとらえ方,経営的視点をもつための知識,サービス業に分類される教育サービスの諸要素などについて考えてみたい。
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