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書評 ―『看護倫理 見ているものが違うから起こること』―看護実践を倫理的に分析することは,看護とは何かを問うことである
長瀬 雅子
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1順天堂大学医療看護学部
pp.393
発行日 2013年5月25日
Published Date 2013/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102388
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看護師は自らを「医療従事者として患者のもっとも近くにいる」「患者に寄り添う」存在であると自負している。また,看護師は学生の頃から,安全,安楽で自律を尊重した看護は基本であり,「患者を中心に考える」ことを当然のこととして教えられる。したがって,看護師は常に「患者のために何が最善か」を考え,実践しようとするのである。この点において,看護を倫理に基づく実践と捉えることができる。
しかし,いくら患者の立場に立って考えようとしても,気持ちがすれ違う経験を誰しもがもつのではないだろうか。人はそれぞれ個性をもった存在であり,何を最善とするかは,人によってあるいは社会や文化によって異なる。患者,家族,看護師には個々の体験世界があり,それゆえにすれ違いが生じるのである。
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