特集 看護師国家試験合格率100%の秘密
合格率100%の背景にあるもの─伝統が育む学習姿勢
大日向 輝美
1
1札幌医科大学保健医療学部看護学科
pp.184-189
発行日 2013年3月25日
Published Date 2013/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102334
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はじめに
編集部から本特集の原稿依頼があったとき,私は心底驚いた。おそらく本学科の教員であれば誰もが同じ反応を示しただろう。
札幌医科大学保健医療学部看護学科は看護師国家試験合格率100%を9年連続で達成している。しかも,わが国の看護教育機関のなかで稀に見る好成績というではないか(図)。
この9年間,卒業生は全員,卒業と同時に看護師資格を取得し,医療人として社会に巣立ってくれた。当たり前に感じていた合格率100%の積み重ねがどれほどのことであったのか,私はこれまで考えてもみなかった。いや,私だけではないだろう。そもそも合格率100%が何年続いているかなど,看護学科の教員は誰も把握していなかったと思う。そうしたことが話題となる環境でもないからだ。
それにしても,何と素晴らしい学生たちか。9年連続100%の事実を知ったとき,私の胸に湧き起ったのはこの思いであった。国家試験対策など何もしてこなかった私たち教員は,驚き,感動し,その意味を改めて考えている。
そういうわけで正直なところ,本学にはこの特集で紹介できる秘訣も取り組みもないのである。だとしても,どのようなことがこの好成績に結びついているのだろうか。学生たちは国家試験対策にどんなふうに取り組んでいるのだろうか。本稿の執筆にあたって,今更ながらいくつも疑問が湧いてくる。
そこでこの機会に,本学の高合格率の背景と教員・学生の思い,国家試験への取り組みを探ってみたい。
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