連載 人の心に寄り添う医療人になる・6
伝統と革新を生きる・2
市川 染五郎
,
山藤 賢
1
1昭和医療技術専門学校
pp.478-483
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206457
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伝統と革新を生きる
山藤(さんどう):そろそろ,まとめに入る時間かな.今日は,あっという間に時間が過ぎるね….染五郎は,今,歌舞伎界の歴史や伝統を紡いでいく責任や義務があると思うのですが,それは同時に,同じことをやっていればいいということではなく,革新も必要かと思います.歌舞伎は400年以上も続いているけど,守るものと同時に,時代に合わせて変えていかなければならないものもあるじゃない? そういう歴史のなかの一部として,後輩たちにつないでいる感覚とか,使命感とか,その辺の背負っているものとかをどう感じているかなと.そのあたり,「イマ」を生きる染五郎としては,どう考えていますか.
染五郎:歌舞伎の世界では,子役から始めているわけですけど,子役の時代を過ぎると,突然環境が変わって「もうわかるでしょ」って世界なので(笑).そこで,“これはもう自分でちゃんとやっていかなきゃならないんだ”と気付かされました.そのうえ,教わる人たちというのは,お祖父さんやひい祖父さんみたいな人たちが多いので,この歳にしては,お世話になった人と別れる(亡くなる)という経験は,普通の人と比べてもたぶん多いと思うんです.
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