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【新しい教育技法】「ビデオ会議で看護学生の文化知識領域を引き伸ばす」より
2012年ものこすところあと僅かとなりました。2012年を振り返ると,オリンピックや米大統領選挙戦など,いろいろ盛り上がった一年でした。そんななかでもサンフランシスコ市民が一番団結して盛り上がりを見せたのが,サンフランシスコ・ジャイアンツの優勝でした。4連勝での優勝は,アウェーの試合だったのにもかかわらず,テレビのスクリーンに見入っていたサンフランシスコ住民たちを大興奮させてくれました。ジャイアンツのチームカラーのオレンジ色にライトアップされた市役所の前の野外スクリーン観戦所の周りでは,優勝が決まった瞬間花火が打ち上がり,街中に車のクラクションや歓喜の叫びが一晩中響きました。そしてジャイアンツの優勝パレードはハローウィン,また米国公衆衛生学会の最終日とも重なり,ダウンタウンの学会会場付近は平日の朝にもかかわらずごった返しました。
その学術学会で,特に興味を惹かれたのが,住む場所の郵便番号に応じて大きく違いが見られる医療格差問題でした。そしてその問題が,一週間後に迫っていたアメリカ大統領戦の結果でどのように左右されるのか。私たち研究者,医療者や教育者がどのようにその医療格差問題に立ち向かう必要があるかの議論は興味深いものでした。そんななか,これからの大切な人材を育てるのに重要な地域医療コースの新しい試みが,今号のJNEで紹介されています。このエッセイを読んでくださっている先生のなかには,地域医療コースの学生の実習先の選定に頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実習先に行くのにかかる時間や費用,受け入れてもらえる学生の人数や,また何が学べるかなど,いろいろ考慮しながら実習先を決めるのは容易ではないでしょう。しかし教師たちが頭を抱えているにもかかわらず,卒業後に保健師として働き出した者の多くは,実習先と就職先のギャップ,文化多様性および異文化理解の知識や経験不足に悩んでいます。
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