主張
医療における内内・内外価格差
O
pp.925
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901616
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従来,医療や福祉は経済変動にそれほど影響を受けないという感覚でみてこられがちであったが,今回のような長期的構造不況に関しても同様であろうか.第二次世界大戦前後の不況時と同様,今回もデフレの兆候が強く出始めており,失業率と併せて多くの経済指標はまったく改善されていない.
日本の社会保険制度においては概して地域,職域,老人制度などに分類され,地域保険においては国家ならびに自冶体の税収によって大きな影響を受け,職域保健においては企業の収益によるところが大きい.言い換えれば,企業収益が悪化すると健康保険組合の事業に大きな変化が現れてくる.まずは,付加給付としての主に健診事業の削減,あるいは地域健診への移行が始まり,これは昨年後半より徐々にみられるようになってきた.さらに,老人保健拠出金に対する世代間負担の問題,そして疾病に対する社会保険現物給付そのものの適正化への問題などが真剣に課題として提案されるような雰囲気が現れてきた.
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