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はじめに
看護基礎教育における臨地実習は,学生が学内で学んだ知識,技術,態度の統合を目的にした,看護実践能力の基本を身につけるための大切な学習過程である。学習者である学生だけに着目していても,よい実習指導は展開できない。看護教員や実習指導者の指導力が学生の臨地実習の学習内容を左右するといっても過言ではない。
実習指導をする際に実習指導者は,学生が自ら考えたことや行った実習経験に対する振り返りに耳を傾け,学生の内面的な変化や行動の変化を支えることで,学生の学習の達成感につなげていくことが大切である。それは,学生自身が実習を通して実感したことは経験として根づき,次への学習課題につながるものと考えるからである。筆者らは,このような学生の経験を大事にしながら,学生の成長を支援するための指導者の力量が必要であると考えている。
前回は,実習指導に望まれる実習指導者の指導力につながる力量として,2つの力量に対する考え方を述べた。1つ目は,力量Aとする「実習指導者の看護観の明確化」であり,2つ目は力量Bとする「学生の積極的な学習活動を支援する実習指導者の姿勢」である。そして,これらの力量について,埼玉県看護学生臨地実習指導者講習会(以下,本講習会)の受講者(以下,講習生)が,筆者らが担当した授業を通して,どのように学んだのか,その意味も含めて前号では紹介させていただいた。
今回は,これら本講習会の授業で学んだ学生の成長を支援する指導者の力量について,実習指導案作成演習の過程を通して,講習生がどのようにその学びを深めたのか,実際に講習生らが作成した実習指導案を例にあげながら紹介していきたい。
なお,本稿でいう実習指導者とは,看護学生の実習場面において,看護実践を直接指導する,看護教員以外の看護師を指す。
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