第2特集 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
患者の死を看取る経験をした看護師の感情表出に対する思い
岡田 桃子
1
1三重大学医学部看護学科
pp.646-649
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101842
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はじめに
感情をその場の状況に応じてコントロールすることが要求され,自己の感情さえ職務の一部とする労働を“感情労働”とホックシールドは提唱しており1),看護師はその代表的な職種であると考えられている。その理由として,看護師にはその職務において適切な感情というものが規定されていて,そこからはずれる感情の表出は許されず,適切な感情であっても,その表出の仕方や程度には職務上許可された一定の範囲があるという“感情規則”が存在するからだと考えられている2)。
しかし,患者の看取りという特別な場面においては,普段患者に抱く感情よりも何かしらの強い感情を抱えながらケアにあたっているということが明らかにされ3, 4),その感情を外部に表出する可能性が高いことが予測された。このような場面においても,看護師は“感情規則”に従い自身の感情をコントロールしなければいけないのか,という疑問を感じた。そこで本研究では,患者の看取りの場面における看護師の感情表出に焦点をあて,看護師が感情表出をすることにどのような思いを抱いているか明らかにすることを目的とした。
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