特集 模擬患者を取り入れた教育を見直す Part 2 模擬患者をどのように活かすか
MEV(Medical Educational Volunteer)養成の必要性と意義
原 寛
1
1原土井病院
pp.606-609
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101824
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はじめに
病院に勤務している人の職種は医師・看護師をはじめさまざまであり,専門職のチームワークにより現在の医療は成り立っている。日本の医療費のほぼ半分を高齢者が占めており治療に加えて介護や生活面への配慮をしなければならない今,職種を超えたコミュニケーションが重要となる。
しかし,これまでの医療に関わる専門職の教育は1つの臓器の疾患を専門的に治療することに重点が置かれており,診察における基本的な態度や接遇などチーム医療を遂行するためのコミュニケーション能力に対する教育が不十分であったように思われる。そこで,ボランティアをMEV(Medical Educational Volunteer)として活用した研修を取り入れれば,学生は講義形式の授業だけでなく,日頃学んでいることを具体的に実行でき,問診やバイタルサインなどの身体的実習と診察態度など患者との接し方を学ぶことができる。
また,MEVにとっても病歴や生活習慣を伝えようとすることによって自分の生活を見直し,健康を考えるきっかけともなり相互に良い効果を及ぼすと考える。
ここでは,筆者が,本年4月より,九州大学病院の林純教授とともに進めているMEVの現状と今後について述べる。
なお,MEVと模擬患者(SP)が異なるのは,MEVは自分自身もしくは家族・友人等の病歴や生活習慣について話をするのでまねる必要がなく,診断や検査についても本人が受けたことがあるので演技をする必要があまりない,という点である。
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