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現在医療者は,さまざまな場面でプレゼンテーション能力が問われている。それは,入院患者のオリエンテーション,同僚・他職種への情報伝達や申し送り,他職種でのカンファレンスや症例検討などの“臨床現場”でプレゼンテーションする場面であったり,学会・研究会での研究発表,院内外での講演・勉強会での講師,看護学生への授業などの“臨床現場以外”でプレゼンテーションする場面などであったりとさまざまである。本書では,どのような場面においても,医療者のプレゼンテーションにおける価値とは,聞き手に最も伝えたかったことを伝えきれたかということであり,特に“臨床現場”でのプレゼンテーションは,患者をはじめとする「人」と接するため,「伝える力」が毎日必要だと書かれている。しかし,医療者のなかには聴くことはできても,伝えることに苦手意識を持っていることが少なくない。そのため,多くの医療者がプレゼンテーション能力を高めたいと考えているに違いない。特に,看護教員は,授業や演習自体がプレゼンテーションであり,学生に伝わるプレゼンテーションは重要である。
本書では,「伝わるプレゼンテーションをするためには,ポイントを最小限に絞る」というメッセージを原則とし,5つのステップアプローチを確実に踏むことで,短時間で効率よくプレゼンテーションを学ぶことができる。まず,ステップ1:Pre-Designでは,プレゼンターの立場をふまえながら,聞き手のニーズを意識して伝えたい内容を最小限に絞った目的を設定できるように具体的に書かれている。そして,ステップ1のプレゼンテーションの目的を軸としてステップ2:Design(プレゼンテーションの設計図)を描くことで伝えたいことが一貫する。具体的にプレゼンテーションを作成するステップ3:Building Contentでは,さまざまなコンピュータに関するプレゼンテーション機能や伝わるための工夫がどのような場面でも実現可能となるように説明されている。そして,ステップ4:Delivery(本番)では,会場での口演発表やポスター発表,看護学生への授業などを声の大きさ,立ち位置,聞き手の友好度や関心度を踏まえて書かれていることから,その場のプレゼンターになったかのように読み続けることができる。最後に,ステップ5:Feedbackで次のプレゼンテーションに向けてポジティブに振り返ることができる。
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