書評
『《JJNスペシャル》ナースのためのME機器マニュアル』
鈴木 紀子
1
1看護史研究会
pp.874
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102016
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東日本大震災に端を発した福島原発の事故の影響から、今年の夏は節電が叫ばれた。震災直後、東京電力は地域を限定しながら計画停電を実施した。準備期間もなく計画停電が行なわれ、対象となった地域の人々の苦労は、被災された方々の苦しみに隠れ、声としては取り上げられることはなかった。そのようななかで、あるテレビ番組で、突然の停電に備えて奮闘する訪問看護師と、在宅で介護する家族の取り組みが取り上げられていた。計画停電の実施地域で切実な問題となったのは、自宅で人工呼吸器を使用している方や、定期的な吸引が必要な方々の命を守る戦いであった。看護師が手動式の吸引器を作って家族に指導し、家族は指導を受けた方法で停電の暗闇の中、痰を吸引して、家族の命を守っていた。
私が勤務する大学病院は、計画停電の対象とならなかったが、一晩中シリンジポンプを使用している患者や心電図モニターで管理している患者も多く、電子機器をはじめとして、電子カルテやPHSの充電など、現代の医療現場は電気がなくては必要な治療も情報交換もできない。そんな医療の現実のなかで働く看護師に、医療電気機器に関する勉強の機会を与えてくれたのが、今回の震災だったのではないだろうか。
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