連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・18
“礼儀正しい教育現場をつくる看護指導者たち”とアメリカ社会
神谷 英美子
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1カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)大学院博士課程
pp.928-929
発行日 2010年10月25日
Published Date 2010/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101595
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●【主な論文】「礼儀正しさが溢れる看護教育現場を作る指導者の役割」からの追憶
生徒が講師に対して失礼な態度や暴言があった際には,講師からの注意などで問題点が明らかにされる一方で,講師が生徒や同僚に対して取る失礼な態度はどうでしょうか。これらの実態を明らかにするため,看護大学の指導者(理事長や学部長)を対象に行われた調査結果が『JNE』6月号に記載されています。回答者の8割が,「講師の無礼な態度」は同僚やスタッフに,残り2割は生徒に向いていると答えました。また「教育現場の無礼をなくすために,指導者の立場からできることは?」という問いに,約86%の回答者が「お互いの意見を尊重して礼儀がある環境づくり」と回答し,以下,「政策づくり」(9%),「ストレス解消やカウンセリング」(4%)と続きます。多人種や文化が交わりあうUCSFでは,イスラム教徒,ニューハーフ(性転換者),同性愛者,修道女や軍人などさまざまな文化をもった生徒や講師がいます。それぞれお互いの意見を尊重する環境なので,留学生の私でも自分の意見を主張して研究や勉強に励むことができるとありがたく思っています。しかし,私のアメリカ生活11年間がずっとこのような恵まれた環境だったわけではありません。
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