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●【主な論文】「看護学生にコミュニケーション・スキルを教える先駆的な方法」から
コミュニケーション・スキルをどのようにして学んだらいいのでしょうか? 自分の体験を思い出すと,看護学生として,また看護師として実体験を重ね,失敗をしながら,また先輩を見て学んだことが多いと思います。今回,模擬患者「家族」を利用してコミュニケーション・スキルを教えるという『JNE』2月号の研究レポートは目新しく,興味深く読みました。まずトピックとして面白いのは,患者とのコミュニケーションではなく家族とのコミュニケーションが焦点であったことです。もちろん,看護の対象は患者とその家族ではありますが,家族への介入を対象とした研究は数少ないです。けれども臨床の場において家族とのやりとりで苦労することは少なくないはずです。医療事故においても,コミュニケーションが適材適所に行われている場合は訴訟となることが少ないそうです。今回の研究のように,患者がICUに入院となった場合にどのようにして患者家族とコミュニケーションを図るかは,家族との今後の関係性を方向付ける大きな役割を担います。コミュニケーションにおいては最初が肝心なので,ここに焦点を当てた当研究の意義は大きいです。一方で家族についてですが,看護業務の「中断(Interruption)」要因について研究したレポート〔Redding DA, et al:Interruptions and geographic challenges to nurses' cognitive workload, J Nurs Care Qual, 24(3), 194-200, 2009.〕では,家族からの質問が看護業務の中断要因として認識されていることが報告されていました。家族も看護の対象でありますから,家族からの質問を業務の中断とみなすことには疑問をもってしまいますが,確かに,配薬する際にある家族から患者の容態についてあれこれと質問されれば,中断と捉えられてしまうのもわかります。
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