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●【特別寄稿】「ネット世代の学生を教える」から
『JNE』7月号は,スマート・テクノロジー時代にぴったりの“ITと教育”がテーマで,特に「Net Set」の記事は,何のことだろうと読み始めました。読むうちに理解でき,コンピュータ,そしてインターネットが私たちの情報収集能力や教育に与えている影響を実感します。UCSFに入学したての頃,ワードとエクセルの基本機能しか知らなかった私には,パワーポイントやEndNote(文献整理ソフト),図書館のオンラインの検索方法,そしてオンライン授業に必要な知識を学ぶことが必要でした。博士課程に差し掛かった今では,上に加えてSTATAやSPSSの統計ソフトの利用方法も学ばなければなりません。来学期から助手を始めますが,授業内容をオンラインのサイトに掲載したり,学生とチャットをすることにもなりそうです!
臨床現場もITの影響を受けています。勤務先の病棟でも電子記録や電子患者配置システムを利用していますし,また医薬情報のコンピュータ検索は欠かせません。看護歴20年のあるナースは,「最近の新人ナースはコンピュータの前に座ってばかり……」とこぼしています。電子化によって「適時記録」が強調されるようになり,以前のようにシフト終了前にまとめて記録するのではなく,意識して頻繁に付けなければならず,自分の記録のあり方を変えざるを得ないと言うのです。また,この記事でシャーマンは「今までの学習手法が効かなくなってきた」と述べていますが,読者の皆さんはどうお考えですか? たしかに,コンピュータと育ってきた“Net Set時代”の生徒は授業にパソコンを持ち込みますし,授業を半耳で聞き,目はパソコンに釘付けになる,という悪しきパターンが思い浮かびます。となれば,グループワークなど参加型の授業が今後増えてもおかしくないのかもしれません。ともあれ,IT化のおかげで,立地や時間的な制約に束縛されずに,学ぶ機会や学び方の選択肢が増えたのはいいことですし,授業で気になった事柄や文献をその場で検索できることにも意義があると思っています。
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