連載 医療と社会 ブックガイド・99
本拠点の本
立岩 真也
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.964-965
発行日 2009年10月25日
Published Date 2009/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101331
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前回,『流儀─アフリカと世界に向い我が邦の来し方を振り返り今後を考える二つの対話』(生活書院,2009)の半分を紹介した。小児科医の山田真さんへのインタビューについて書いた。そこに収められているもう1つのインタビューが,アフリカ日本協議会(AJF)で働いている稲場雅紀さんに対するもので,加えて稲場さんの文章を収録している。本の序文には次のように書いた。
「稲場さんとの話にいま加えることはない。私たちは,たくさん勉強して,知って,知らせて,考えなければならないと思う。そして,基本的な線をはっきりさせ,すぐに実現しないとしても,そちらの方に向かうことと,今の社会にある力の配置を読んで,今取って来なければならないものを取って来ることと,その両方が必要であること,それぞれを志向する者たちが互いを軽く見るなどということがあってならないこと,むしろ双方が双方を強め合うような過程が必要であり,それは実際に可能であることが言われた」
そんなわけで中身は本を見てください。ここでは話の内容の外側のことについて。稲場さんが働いているAJFは大きな組織ではないが,さまざまな活動をしている。その重要なものの1つとして,アフリカにおけるHIV/エイズに関わる活動がある。この長い(あと2回で終わる)連載の第53回(2005年10月号)でAJFの代表を務める林達雄さんの『エイズとの闘い─世界を変えた人々の声』(2005,岩波ブックレット)を紹介した。またAJFと一緒に作った冊子の紹介をした。そして続く2回を「エイズとアフリカの本」と題して,関連する本を紹介した。
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