特集 思い込みと偏見―教育的に「見方」を変えるには
高齢者をありのままにとらえる―臨床現場を偏見助長の場にしないこと
六角 僚子
1
1認知症ケア研究所
pp.902-908
発行日 2009年10月25日
Published Date 2009/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101317
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「偏見」に満ちた高齢者像が生まれるまで
■「高齢者神話」の始まり
(1)老化しているかどうかは,年齢で決まる
(2)高齢者のほとんどは,健康を害している
(3)高齢者は非生産的である
(4)高齢者の頭脳は,若者のように明敏ではない
(5)高齢者は恋愛や性に無縁である
(6)高齢者は誰も同じようなものである
これは1997年の『厚生白書』1)に取り上げられた,当時の若者に対する調査結果から描き出された高齢者イメージである。高齢者の外観や行動様式,社会的な評価から,「ほとんどの高齢者は病気を抱え,寂しく,悲しく衰えていく」というイメージが若者たちのなかに固定化されていることがわかる。それを白書は「神話」と表現したうえで,この6つの神話を「誤った認識」とし,「脱神話の必要性」と強調している。
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