特集 思い込みと偏見―教育的に「見方」を変えるには
子どもは可愛いだけじゃない―現場から見た小児への思い込みとその対処
青木 真輝
1
1長野県立こども病院第2病棟
pp.910-913
発行日 2009年10月25日
Published Date 2009/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101318
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「子どもだから」に惑わされない
子どもは,可愛い,元気,笑顔,楽しい等の肯定的なイメージが強い。こども病院に就職した新人の話を聞くと,病院を選んだ理由として,子どもが好き,子どもとたくさん遊びたい,などの理由が聞かれている。しかし入院している子どもに関わるとき,私たち看護師はそれだけではいられない。むしろ子どもが嫌なこと,つらいことを体験しているときに関わることが多い。小児看護に携わる看護師は,必要な医療ケアを行いながら,病気や入院が子どもにとってつらいだけの体験ではなく,がんばった出来事として心のなかに残っていくよう,日々関わっていくことが求められている。
私たちは,「子どもだから」という言葉をよく口にする。これは,子どもは日々成長発達している存在であり,未熟であるということを含んでいると思われる。子どもは,生命の誕生から,乳児期(0~2歳),幼児期(3~6歳),学童期(7~12歳),思春期(13~16歳)をへて,大人になっていく。乳児期では,言葉が未発達であり,体を使って,食欲・排泄・愛情などを表現する。幼児期になると,言葉が発達し,自分の感情を言葉で表現できるようになってくる。母親とのつながりが強く,自己中心的である。学童期になると,自分以外の他者への興味が強くなり,友達など周囲とのつながりが強くなってくる。看護師は,これらの発達段階を考慮して子どもに関わることはいうまでもない。しかし,この年齢だから……という思いが強いと,それが思い込みとなり個々の子どもの個別性がみえなくなってしまう可能性がある。
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