今月の主題 今日の心不全診療
心不全患者ケアの問題点
付)心不全を助長する薬剤
原 和弘
1
1東京大学医学部第1内科
pp.674-675
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221637
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薬剤による心不全の悪化または潜在的心機能低下例での心不全の顕在化は,直接的な心筋抑制や心筋障害,体液貯留などによって起こる.表のように心筋抑制にはβ遮断薬やベラパミル,心筋障害にはドキソルビシンなどの抗腫瘍薬,体液貯留には非ステロイド系抗炎症剤が知られている.一部を除き,そのほとんどすべてが用量依存性であるが,常用量以下でも心不全を惹起ないし増悪するのは,1)元来心機能が極度に低下している場合 2)薬物相互作用による血中濃度の上昇 3)心不全で分布容量の減少,代謝や排泄の低下することによる血中濃度の上昇などが背景にある.
ここでは,通常の用量でうっ血性心不全を生じる可能性がある薬を,循環器疾患治療薬とその他の薬剤に分けて述べる.
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