連載 木挽先生のすべらない精神科実習指導・7
「偏見を持たないで」と教える私たちの偏見
木挽 秀夫
1
1ケアネットホーム高畑
pp.106-107
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101040
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精神看護学実習のオリエンテーションで、学生は実習指導者から、「患者さんに対する偏見は、あっても仕方がないことです。この実習で変えていってください」と説明されることが多くあります。学生もミーティングなどで、「患者さんに対する偏見が減ってきました」といった発言をすることがあります。教員であった私自身も、精神障害者に対する偏見が軽減されることを実習目標の1つに挙げていたことは事実です。「偏見」について学ぶことは、精神科看護の教育において大事なポイントです。
さて、精神障害者に対する「偏見」はどこから来るのでしょうか。わたしは以前、精神障害者に対してネガティブなイメージ、つまり偏見を持つ原因について調査したことがあります。結果は、その多くがマスコミの影響や教育による影響で、実際に自分の体験として精神障害者にあったり、かかわったりしたためにマイナスイメージを持ったという人はわずかでした。このような研究や調査はたくさんあって、だいたい同じような結果になっています。また、直接かかわりを持つ看護実習を通して、そのイメージが軽減されていくことも研究報告等で明らかになっています。
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