連載 なぜから始まる授業 基礎看護技術はなぜそうなのか?・9
気持ちよさの感じ方は人によって違う
若村 智子
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.863-866
発行日 2009年9月25日
Published Date 2009/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101307
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そろそろ清潔の単元へ
今回からは,清潔に関係する演習について取り上げたい。看護技術の教科書の組み立てにもいろいろあるように,どの順番で教えていくのかは,担当する教員の考え方に基づいているといっても過言ではない。私たちの授業は,「生体リズム」「姿勢と動作」「コミュニケーション技術」を基本的単元とし,「食事」「排泄」「清潔」を複合的単元として位置づけている。その複合的単元のなかにあって,「清潔」は全体の技術の総まとめを意味するものとして位置づけている。今回はその「清潔」をテーマに取り上げる。
すべての生活は活動と休息が交替に現れ,その24時間のすべての時点で私たちは何らかの姿勢を取っている。生活するうえでも,ケアにおいても人と人とのコミュニケーション技術は不可欠である。これらの技術を前提としたうえで,適切なタイミングで食事が摂取され,消化され排泄されるような援助を考えなければならない。清潔ケアも同様に,「生体リズム」「コミュニケーション技術」「姿勢と動作」の基本的な技術はもちろん前提である。食事や排泄時にも必要とされる清潔ケアもあるが,身体清潔ケアを行う時にも,まず排泄の援助が必要であったり,食事時間のタイミングを考えたりすることが必要である。そのため清潔の単元はこれまで習ってきたことをすべて活用しなければならないという意味で,私たちの授業では総まとめとして位置づけている。
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