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性と生殖についての文化的視点をどう養うか―2年課程専門学校での「女性看護学概論」の試みから
田中 美紀子
1
1川崎看護専門学校
pp.516-517
発行日 2009年6月25日
Published Date 2009/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101220
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はじめに
本校は2年課程の看護専門学校であるが,母性看護学の概論部分を「女性看護学概論」(1単位30時間)とネーミングして教授している。ねらいは女性の生涯発達から女性の健康を理解し,女性を取り巻く文化や社会的環境について歴史的変遷を踏まえつつ,人間の性と生殖を軸に看護を学ぶことである。そこで,性と生殖を文化的・社会的環境からどのように読み解くかがこの科目の目標になる。
一般的に文化は人間の営みや生活様式を意味し,それを総体的な視点で理解することが必要になるわけだが,人間の性と生殖に関しても,あらゆる方向性から考えることが肝要である。
私たちの遠い祖先は「天を父として地を母とし,この交接によって万物が生まれるのである」1)という性観念を持っていたが,これは現在も民俗文化の事象に観ることができる。東京という大都会で鎌倉時代から伝承されている神事に『田遊び』がある。性的要素を多く含むその『田遊び』の演技を紹介し,そこから性と生殖について考えてみたいと思う。
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