特集 医療安全カリキュラム―構築のためのキーポイント
研修の実際
1.事故事例の分析による医療安全の教育内容の抽出
石川 倫子
1
,
古村 ゆかり
1
,
高口 みさき
2,3
1厚生労働省看護研修研究センター
2前厚生労働省看護研修研究センター
3愛知県健康福祉部健康担当局
pp.483-487
発行日 2009年6月25日
Published Date 2009/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101213
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はじめに
医療安全が大きな課題と認識され,10年が経過した。そのなかでさまざまな医療安全確保に向けた体制を整えつつ,今,患者本位の医療の質と安全を保証する仕組みを創り出している。それに相まって,看護基礎教育の事故予防に関するカリキュラムは,新たな医療安全に関する知見を加味したカリキュラム体系として改善していく必要がある。
そのために本研修では医療安全の教育内容を,①事故事例の分析から抽出する帰納的な方法,②教育理念,教育目的・目標からの内容抽出および医療安全の動向や学問の動向から資料を用いて内容を抽出する演繹的な方法,によって広く深く抽出している。それによって,看護教員が自らの事故分析能力の必要性と常に新しい情報を把握することの重要性を自覚し,自校の実践カリキュラム編成に反映できるものと考えている。
本稿では,医療安全の教育内容抽出の中核である事故事例の分析による抽出に焦点をあて,事故事例の分析から教育内容を抽出する考え方とその過程とを,具体例を用いて紹介する。
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