書評
―『生活機能からみた老年看護過程+病態・生活機能関連図』―高齢者がその人らしく生活できるため支援する格好のガイドに
今井 芳枝
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部
pp.305
発行日 2009年4月25日
Published Date 2009/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101173
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
●“生活者としての高齢者”
私の仕事の中心は,積極的な治療を望み急性期病棟にて入院治療している高齢者を対象とした高齢者看護学実習指導です。特に,実習指導している中で困難を感じる事項として,高齢者の持つ疾患・既往ばかりに目がいってしまう点や,加齢に伴う身体機能の低下など衰退の要素にとらわれがちになる点があります。それは高齢者の複雑な疾患背景や目に見える問題に捉われてしまいがちになることが原因だと考えます。
高齢者は加齢に伴う身体機能の低下という衰退の要素と共に長い人生経験の中で培ってきた知恵や対処能力という成熟の要素を併せもった存在です。高齢者の理解や看護を指導するうえで,高齢者が築いてきた生活史を基盤しながら支援できるように,“生活者”としての高齢者という視点を学生に持たせることが重要になると思います。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.