『看護教育』50巻記念
『看護教育』50巻に寄せる言葉
川島 みどり
1,2
1日本赤十字看護大学
2健和会臨床看護学研究所
pp.4
発行日 2009年1月25日
Published Date 2009/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101095
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- 文献概要
本誌創刊時の看護界は,極度の看護師不足による劣悪な労働条件に目覚めた看護師らが「人間宣言」を社会にアピールし,高度経済成長とともに医療技術も大きな変容を遂げようとしていました。私自身の歩みに重ねますと,前半は、学生を受け入れる現場の看護師として,また,新人を迎える教育師長の立場から,かれらの知識や技術能力のレベルを通しての基礎教育への関心でした。いわゆる新カリキュラム(1968年)により,それまでの医療分化にそったものから対象の発達段階の特性にそった分類に変わったとき,看護の独自性を目ざす意図は理解できても,看護学生らの臨床実習の場は,医学の専門領域を堅持した診療部門を背景にした病棟や外来であるのに大丈夫かなと,疾病を持った患者さんへの看護を展開する学生の身になって心配したことを記憶しています。看護実践能力が教育の課題になって来た今,その渦中にいて短期間実習での技術習得教育を探る必要を痛感しています。少子化の中での質の高い教育を目ざすことの至難さを思いながら,人々の信頼に応え得る看護教育を進める意味からも,本誌の役割はいっそう大きくなることでしょう。過去の蓄積を活かしつつ,新しい発想での飛躍的な誌面に期待したいと思います。
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