特集 脳の発達に関与する分子機構
特集に寄せて
仲村 春和
1
Harukazu Nakamura
1
1東北大学加齢医学研究所分子神経研究分野
pp.170-171
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902263
- 有料閲覧
- 文献概要
脊椎動物の神経系の発生は外胚葉が神経誘導を受けることに始まり,1本の神経管が形成される。神経管の前の部分に三つの膨らみ,前脳胞,中脳胞,菱脳胞ができ,これが脳の基本的な枠組みになる(図1)。前脳胞はその後,終脳胞と間脳胞に分かれ,終脳には大脳皮質と基底核が,間脳には視床,上部視床,視床下部が分化する。網膜も間脳から分化する。中脳は背側の視蓋(哺乳類の上丘)と腹側の被蓋に分けられる。菱脳胞は後脳胞と髄脳胞に分かれ,後脳胞の背側は小脳に腹側は橋に分化する。髄脳は延髄となる。
完成した脳は複雑な構造をしているが,ある特定の部位は決まった部位と正確な神経回路で結ばれている。これは発生過程でこのような大きな領域がさらに細分割され,神経細胞がその存在する位置に従ってアイデンティティを獲得することによる。
Copyright © 2001, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.