特集2 看護学生論文―入選エッセイ・論文の発表
論文部門
他者との交流が不足している患者の行動変容を促す関わり
豊留 ゆきな
1
1川鉄千葉病院看護専門学校(投稿当時)
pp.735-739
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100998
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はじめに
統合失調症患者は,自分の自我を守りながら,相手と距離を少しずつ縮め関係を育んでいく技術が不得手である。相手のペースのままに無防備に相手を自己に侵入させたり,反対に相手の気持ちを充分に考慮せず極端に近づいたりして,関係をうまく作れないことがあるとされている。
私が受け持った患者は,緊張型統合失調症にみられる型にはまった行為がみられ,数秒きざみで行動し,自分で決めた通りに日常生活を送り1分でもずれると混乱し落ち着きのない行動がみられていた。他者の意見や了解も得ないで,自分勝手に行動し,行動範囲やパターンが作られ,自分の主張は貫き通すといった行動がみられており,他者との交流は少なかった。思いを受容し共感していくことでA氏は少しずつ他者を受けいれるようになった。生活行動にあわせてペースを乱さず,時間を共有し少しずつ行動拡大を促したことで,行動の変容がみられることができたので,ここに報告する。
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